FY 2026向けH-1Bキャップの電子登録が3月7日から24日まで実施され、1人あたり215ドルの登録料やクレジットカード決済上限の一時的な引き上げといった新制度が導入されます(The Digital Shift in H-1B Filings)。
昨年導入されたベネフィシャリー単位の選抜方式を引き続き採用することで、重複登録を防ぎつつ、大量の申請を処理するためのオンラインシステム強化や組織アカウント機能の拡充も行われており、企業は短期間での効率的な対応が求められます。
「主要な点」
オンライン登録期間の概要:USCISによると、FY 2026向けH-1Bの初回登録は2025年3月7日(正午EST)から3月24日(正午EST)までとなります。。期限を過ぎると登録が受け付けられず、抽選対象外となるので注意が必要です。
登録料と支払い方法:1人あたり215ドルの登録料が必要。大口のクレジット決済上限は一時的に約10万ドルに引き上げられ、ACH決済も活用可能です。申請数が多い企業は事前に銀行手続きを確認することが推奨されます。
新たな選抜方式:ベネフィシャリー単位:FY 2025から導入された仕組みで、登録ではなく「受益者(ベネフィシャリー)」ごとに抽選が行われます。重複登録の防止や公平性の向上が目的です。
アドバンスドディグリー優遇:大学院以上の学位保持者を対象とした追加枠(Advanced Degree Exemption)は依然存在します。ただし初回登録前に選抜結果が判明するわけではなく、登録後に適用されます。
組織アカウントの必須化:H-1B申請企業はUSCISオンラインアカウントの開設が必須です。過去に使用したアカウントを再ログインすると自動で「組織アカウント」に切り替わる場合があります。
代表(レプレゼンタティブ)アカウント機能の強化:法律事務所や移民コンサルタントがクライアント情報を一括管理しやすくするための機能が追加されました。パラリーガル(法律助手)アカウントが複数の弁護士と連携できるよう改善されています。
Form I-129への自動入力サポート:選抜された登録情報の一部がI-129申請書に自動転記され、作業の手間を軽減。フォーム入力ミスのリスク低減にもつながります。
大量データアップロード機能:H-1B候補者の情報をスプレッドシートで一括アップロードし、複数登録を効率的に処理できる仕組みが導入されています。大手企業や代理申請を行う法律事務所にとっては大幅な効率アップが期待されます。
抽選結果の通知タイミング:登録受付後、3月24日に締め切られた段階で抽選が行われ、結果は3月31日頃までにUSCISオンラインアカウントに通知される見込みです。該当企業にはI-129提出期限や追加書類の案内がなされます。
今後の課題と展望:ベネフィシャリー単位での選抜やクレジット決済上限の拡大など改革は進む一方、急増する申請数への対応や、重複登録の厳格化などさらなる制度改善が引き続き求められます。
「企業の検討点」
オンラインアカウントの事前準備:企業や代表者のアカウント登録、パスワード管理、支払い情報の登録を早めに完了する。
支払い方法と上限の確認:大量登録時にクレジットカードの上限を超える可能性があるため、ACH決済やカード上限の事前引き上げの手続きを検討する。
ベネフィシャリー情報の事前整理:スプレッドシートアップロード機能を活用し、申請データを一括で正確に管理できるようにしておく。
重複登録の回避:ベネフィシャリー単位の登録が導入されているため、社内で候補者管理を徹底し、複数部署や代理人間で情報が重ならないよう共有する。
抽選結果後の手続き迅速化:選抜結果発表後のI-129提出までの時間が限られるため、必要書類や内部承認フローを事前に整備しておく。
「Q&A」
Q1: H-1Bビザ申請にはどのような資格や職種が対象になりますか?
A1: 専門職として認められる学位や実務経験が必要で、IT、工学、金融、建築など幅広い職種が対象となります。
Q2: 会社が初めて外国人社員を採用する場合、どのような準備が必要ですか?
A2: D-U-N-S番号(米国企業ID)取得や、USCISオンラインアカウント登録、LCA(労働条件申請)提出など、法令遵守と書類準備が必須です。
Q3: H-1Bの上限(キャップ)はどのくらいですか?
A3: 現行では年間65,000件に加え、米国の大学院以上の学位保持者向けに20,000件の優先枠が設けられています。
Q4: 当選後から実際の勤務開始までの流れは?
A4: 抽選で選ばれた後、I-129を提出し、承認されたら在留資格変更またはビザ発給プロセスを経て勤務開始が可能です。
Q5: H-1B申請における弁護士や代理人の役割は?
A5: 書類作成やUSCISとのやり取りを代行し、企業・従業員双方の負担を軽減できるため、スムーズな申請に寄与します。
Q6: クレジットカード決済限度額が一時的に拡大された理由は何ですか?
A6: 過去の登録数増加により、企業が1日の決済上限を超えるケースが相次いだため、USCISが対応策として一時的な上限拡大を認めました。
Q7: ベネフィシャリー単位の選抜方式が企業に与えるメリット・デメリットは?
A7: メリットは重複登録の防止と公平性の向上。デメリットは企業が複数部門・代理人で一貫した情報管理をしないと、意図しない重複登録になる恐れがある点です。
Q8: 組織アカウントや代表アカウントの機能強化はどのように業務効率を上げますか?A8: パラリーガルや弁護士が複数のクライアント・企業を一括管理できるため、登録情報の二重入力や連携の不備を減らし、迅速な申請準備が可能となります。

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