2020年度のU.S. Equal Employment Opportunity Commission (EEOC:米国雇用機会均等委員会)には総計6.8万件弱の差別のクレームがあった。
ここ数年でEEOCが受けるクレームで最も多いのは報復行為(Retaliation)で、全総数の55.8%占めている。
2017年10月から世界的に広まった#MeToo MovementやTime’s Upキャンペーンにより、多くの州ではセクシャル・ハラスメント防止のため、さらなる法律が制定されており、セクシャル・ハラスメント防止トレーニングが義務付けられている州も増加している。
特に管理職は職場差別についても把握するおくべき重要事項になっている。
EEOCに2020年に寄せられた申し立てでは訴訟を通じて支払われた賠償金額は、4億3,920万ドルとなっている。
EEOCへの申し立て根拠とその項目件数、割合は以下となる。
報復:37,632件(55.8%)
障害者:24,324件(36.1%)
人種:22,064件(32.7%)
性別:21,398件(31.7%)
年齢:14,183件(21%)
国籍:6,377件(9.5%0
肌の色:3,562件(5.3%)
宗教:2,404件(3.6%)
上記の申し立ては、一つの申し立てに対して複数の根拠が絡んでいるため、総計は100%とはならない。
約6.8万件の申し立てのうち、4,130件(6.1%)がカリフォルニア州での件数である。
カリフォルニア州では、障害者差別が報復を抑えてトップのクレームとなっている。
障害:2,868件(19%)
報復:2,717件(19%)
性別:1,717件(14%)
人種:1,639件 (13%)
年齢:1,356件(11%)
国籍: 859件 (7%)
セクハラ(敵対的職場環境):574件(5%)
クレームのあったカリフォルニア州の郡は、ロサンゼルス(6,119件)、オレンジ(1,873件)、サンディエゴ(1,210件)となっている。
カリフォルニア州の差別やハラスメント行為を管轄しているのはDepartment of Employment and Housing(DFEH)という機関であり、連邦機関であるEEOCとは別にクレームを受理している。DFEHでは2019年には2.2万件超が受理されている。
またこのような公的機関とは別に弁護士事務所を通しての申し立てもあり、これも併せると件数はさらに多くなる。
引き続き、企業はマネージメントや従業員に対して、会社のハラスメント禁止方針の周知に努めると共に、ハラスメントや差別行為に対する教育をすることが重要である。
Comments