採用前に、雇用主が行う雇用前身上調査(バックグラウンドチェック)。
工場や倉庫等、大型機材を動かしたり、業務上の過失が従業員本人や周囲の怪我につながる可能性が高い職場では、雇用前にドラッグテストを実施する場合も多い。雇用後の事故を未然に防ぐために行われる重要なスクリーニングの一つである。
しかしながら、雇用前であっても、会社のために何かをする場合には、その対価として給与が発生する場合も考えられる。そのため、通常は全ての業務に関連することは雇用開始後に行う。
米国の労務法は判例に基づいて法律が定義される。
カリフォルニア州含め全米で手広くスーパーマーケットチェーンを運営しているWinCo Foods社では、雇用オファーレターの提供後、候補者にドラッグテストを義務付けている。
同社はドラッグテストを受ける費用を負担をしているが、従業員が指定をされたテスト場所に行ったり、テストを受ける時間に対して費用を支払っていなかった。
結果、同社はドラッグテストにかかる時間への未払いは、公正労働基準法(Fair Labor Standards Act: FLSA)の「働いた対価に対しての時間分の賃金を支払う義務」に抵触しているということで訴訟された。
厚生労働基準法では、この「働いた時間」の中で、ドラッグテストが含まれるかどうかということについては明確に言及をしていない。
今回の訴訟ではカリフォルニア州の裁判所での判決により、雇用前ドラッグテストにかかる時間(旅費や検査時間)に対しては支払いをする必要が無いという結果となった。
「従業員」か「雇用前か(オファーを受け取った後であるが、ドラッグテストを受けている時点で雇用は開始していない)」という点が、大きな焦点となったようである。
詳細はJohnson v. WinCo Foods, LLC, No. 21-55501を検索。
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