米国の労働市場では、日本と比較してジョブ・ホッピング(Job Hopping)がより受容されていると広く認識されているが、実際のところ具体的な状況はどうなのだろうか。
LinkedInの調査によると、2023年の時点での米国における平均勤続年数は4.1年であり、これは日本の平均勤続年数12.1年と比較して、米国内での雇用の流動性が高いことを示している。
米国労働統計局が行った調査結果では、各年代別の平均勤続年数は以下のようになっている:
20歳から24歳:1.2年
25歳から34歳:2.8年
35歳から44歳:4.7年
45歳から54歳:6.9年
さらに、多数の企業が大卒新入社員の在職期間を2年未満と予測して採用していることも明らかになっている。
米国での生涯平均転職回数が12回と言われているのに対し、日本では平均転職回数が2回であるという調査結果は、両国の労働市場における根本的な違いを示している。米国における労働の流動性の高さは、ジョブ・ホッピングが一般的な文化の一部となっていることを反映しており、キャリアの構築において異なるアプローチが取られていることを示唆している。
ジョブ・ホッピングは、従業員が12から18か月の間に転職を行うことを指すが、このような行動が一般的であるという事実と、それが肯定的に見られているかどうかは異なる問題である。
ジョブ・ホッピングは一定程度定着しているが、企業側から見れば、特に在籍年数が2年未満での繰り返し転職は懸念材料となり得る。
ジョブ・ホッピングが一般的である米国の労働市場において、候補者の評価を行う際に注目すべき点は、その転職が単に頻繁に職を変える行為にとどまらず、意味のあるキャリア・ビルディングの一環であるかどうかを見極めることである。キャリア・ビルディング、すなわち「Job Hopping with Intention」(意図的な転職)という概念は、単に短期的な利益を追求するのではなく、長期的な視点でキャリアの発展を図る転職行動を指す。
評価の際には、候補者が自身のキャリアをどのように考え、計画しているかを理解することが重要である。そのためには、過去の転職がどのような目的で行われたか、特定のスキルや経験を深めるため、あるいは新たなキャリアの機会を追求するためのものであったかを見極める必要がある。
また、同一業界内で昇進やキャリアの拡大を目指しているのか、あるいは他業界に目を向け、より広い視野でキャリアを構築しようとしているのかという点も、候補者の長期的なキャリア目標を理解する上での重要な指標となる。
こうした評価を通じて、企業は単なるジョブ・ホッパーではなく、自身のキャリアに対して意図的で戦略的なアプローチを持っている候補者を見極めることができる。これは、組織にとって長期的な価値をもたらす人材を確保する上で重要なプロセスである。
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