National Basketball Association(NBA)及びWomen’s National Basketball Association(WNBA)のアリゾナ州フェニックス市に拠点のあるフェニックス・サンズ、そしてフェニックス・マーキュリーのオーナーであるロバート・サーバー氏が起こした差別・ハラスメント行為の大規模な調査結果が発表されたのが、先月9月のことである。
サーバー氏はサウスウエスト・バリュー・パートナス社(SWVP)という不動産投資会社を共同設立して財をなし、2004年に当時史上最高額の4億1,000万ドルでNBAチーム、フェニックス・サンズを、そして同時期にWNBAチーム、フェニックス・マーキュリーを購入したビジネスマンである。
以前からサーバー氏の発言や行動は問題になった事はあったが、2021年11月に70人以上からのインタビューをもとに記載されたレポートにより、人種差別発言とハラスメント(特に女性軽視・女性嫌悪)問題が告発されてNBA主導で調査が行われていた。
NBAは今回の調査に対してWachtell, Lipton, Rosen & Katz法律事務所に調査を依頼をした。同法律事務所は320名へのインタビューと共に、過去の書類、電子メール、テキストメッセージや動画等を含む8万件以上の資料をもとに調査結果をまとめた。
最終的にサーバー氏へは1,000万ドル(14億円)の罰金と1年間の活動停止処分が下された(ちなみに1,000万ドルの罰金はNBAで決定されているペナルティ額の上限である。またこの金額はサーバー氏の純資産の1.25%にしか相当しない)。
一見すると高額な罰金、そして非常に厳しい処分であるという見方も出来なくはないが、多くのNBA選手や関係者はサーバー氏に対する処分は軽すぎるとして声明を発表した。
実際に人種差別発言やハラスメント行為が行われていたという事実が明白になったにも関わらず、解雇や球団売却の処分が下されなかったことに対しての不満が多い。
フェニックス・サンズのスポンサーであるペイパル社含めて、多くの企業もサーバー氏がオーナーである限りパートナーシップ契約を更新することは無いという声明を発表した。
このような状況下、サーバー氏はサンズ、マーキュリー両チームの運営から身を引き、チームを売却する意向を示し、実際に売却の手続きを開始している。2004年に4億1,000万ドルで購入したサンズは現在の市場価値は約18億ドルである。
問題のある言動を起こした場合、どのような立場、どのようなポジションにいる人でも問題と向き合うことが必要である。高位ポジションに就く場合は、特に意識をしておく必要があるのではないだろうか。
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