米国のOPT(Optional Practical Training)とCPT(Curricular Practical Training)は留学生にとって学業と実務経験を結びつける重要な手段ですが、トランプ政権によるビザ政策の見直しでルールが厳格化される可能性が高まっています(Are Practical Training Visas a Loophole)。
入学直後から働けるDay 1 CPTや、インド出身など多くの国際学生が利用する通常のOPT・CPTが制限されれば、留学計画や企業の人材戦略にも影響が及ぶため、最新動向を把握することが不可欠です。
「主要な点」
OPTとCPTの基本的違い:OPTは卒業後または在学中に最大12~36か月の就労が認められ、CPTは在学中の実習として特定カリキュラムに紐づく形で行われます。どちらもF-1ビザの枠内で合法的に働く手段ですが、CPTは学業期間中に限定される点が特徴です。
トランプ政権の関心が高まる背景:H-1Bビザに対する規制強化だけでなく、OPT・CPTを通じた“実質的就労”が増えたことが指摘され、これらを“ルールの抜け道”とみなす動きがあります。
Day 1 CPTの急増と注目点:一部の大学では、入学初日から就労が可能なDay 1 CPTを導入しています。学生にとっては早期に実践経験を積めるメリットがある一方、プログラムの適切性や大学の認定条件が厳しく問われる可能性があります。
オンライン学習と実地研修のバランス:COVID-19を機にオンライン学習が普及したことで、実地研修とのバランスを取りにくくなりました。CPTプログラムがオンライン主体の場合、移民当局から疑念を抱かれることもあります。
企業にとってのメリットと課題:OPT・CPTを活用すると優秀な外国人学生を早期に確保しやすい一方、ビザステータスの変更や厳格化のリスクもあるため、人事部門は常に最新情報を追う必要があります。
インド人留学生の事例:留学生全体の大きな割合を占めるインド出身者はOPT・CPTを積極活用しています。一例として、STEM分野での需要が高く、OPTの延長(STEM OPT)を利用するケースが多いです。
大学認定・DSOの役割:大学のDSO(Designated School Official)は、学生が正しいプロセスでCPTを申請するようガイドする役割を担います。DSOの知識不足や管理不足が問題化することもあります。
潜在的な規制強化の内容:たとえば、Day 1 CPTの要件強化や就労先の種類制限、OPT期間の短縮化などが検討の対象となる可能性があります。こうした改正は短期間で実施される場合もあり、要注意です。
留学生側の注意点:OPTやCPTを利用する場合は、学校・プログラム選定に慎重になるほか、学業が中心であることを証明できるよう、授業出席や成績管理を徹底する必要があります。
今後の見通し:政権交代や社会情勢によって政策は変動しやすく、OPT・CPTが更なる規制強化を受けるかは不確定です。ただし、留学生や企業にとっては今後も要注視のトピックであることは間違いありません。
「企業の検討点」
ビザ状況の把握とアップデート体制:OPT・CPT関連の法改正リスクを想定し、社内での情報共有や専門家への相談ルートを整備しておきましょう。
企業独自の支援プランの検討:留学生を採用する場合、ビザサポートや職場研修プログラムの提供など、雇用の安定化を促進する仕組みを考えると効果的です。
Day 1 CPTの学生採用時の注意点:学校認定の状況や実習内容の正当性を確認し、違法就労とみなされるリスクを回避するためのプロセスを確立しましょう。
人材確保と長期雇用のバランス:OPT期間のみの短期雇用にとどまらず、H-1Bやグリーンカードへとキャリアを繋げる計画を提示することで、優秀な人材を長く確保できます。
国際学生コミュニティとの関係構築:大学のキャリアセンターや留学生団体とのパートナーシップを築き、優秀な候補者への早期アプローチを図ると採用競争力が高まります。
「Q&A」
Q1: OPTとCPTの最大の違いは何でしょうか?
A1: OPTは学位プログラム終了前または後に就労可能な制度、CPTは在学中にカリキュラム関連の実習として働く制度です。
Q2: 企業がOPT・CPT学生を採用するメリットは?
A2: 優秀な外国人学生を早い段階で確保でき、将来的にH-1Bや長期雇用へ繋げやすい利点があります。
Q3: トランプ政権がOPT・CPTを問題視する理由は?
A3: 外国人労働者の流入を制限する政策の一環で、“規制の抜け道”とみなされる可能性があるためです。
Q4: Day 1 CPT導入校が増える背景は?
A4: 留学生の早期就労ニーズや企業の即戦力期待に応えられるため、大学側が魅力的なプログラムとしてアピールしているからです。
Q5: オンライン中心のCPTプログラムはリスクがありますか?
A5: 実質的な在学実態が疑われやすく、移民当局から不正就労とみなされるリスクが高まる場合があります。
Q6: もしDay 1 CPTの規制が強化されたら、企業や学生はどう対応すればいいでしょうか?
A76 認定校を選ぶ、DSOとの連携を密にする、オンサイト学習比率を高めるなど、法規制に合致する形でプログラムを運営・利用する必要があります。

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