「I-9フォームとは?」
北米で働く際に必要となるI-9フォームの新しいバージョンが登場した。正式名は「Employment Eligibility Verificationフォーム」である。現在保有している従業員のI-9を更新する必要はないが、今後雇う従業員には新しいフォームの使用が推奨される。古いI-9フォームの使用は2023年10月31日までとされている。
「Immigration Reform and Control Act(IRCA)の背景」
1980年代初頭、米国は増え続ける不法移民の問題に悩まされていた。これらの移民は、低賃金での長時間労働をしており、さらに社会保障制度の不正利用の疑いも持たれていた。これが労働市場に悪影響を及ぼしていた。これらの課題に対応するため、1986年に「Immigration Reform and Control Act」(IRCA: 移民改革・雇用責任法)が施行さた。IRCAは、雇用主に外国人の身分や資格を確認する役割を与え、不法就労の防止を目指した。実際、労働市場の保護の観点から見ると、IRCAは成功を収めたものの、不法移民の権利侵害という批判も受けている。
「遵守と監督」
米国市民権及び移民サービス局 (USCIS) がIRCAの監督を担当している。そして、USCISがI-9フォームを発行している機関であり、このフォームを用いて雇用主は外国人が合法的に就労が可能であることを確認出来る。新入社員は身分証明書を提出し、雇用主はその情報を3年間保持する義務がある。適切な手続きや保持がなされない場合、雇用主は罰金を科せられる可能性がある。
「要約」
日付: 2023年7月21日、USCISは新しいI-9フォームを公開。
変更点: フォームは簡略化・短縮。リモート文書検査手続きも導入。
期日: 旧I-9フォームは2023年10月31日まで使用可。以降、旧フォーム使用は罰金対象。
「企業への義務」
2023年8月1日より新しいI-9フォームを採用。
旧I-9フォームは2023年10月31日まで。
E-Verifyを使用する企業はリモート確認時にビデオ面接を実施、文書コピーを保存。
I-9フォームは一定期間保存。DHSや米国法務省などからの要請があれば提供。
「企業の検討点」
新旧I-9フォームの使用時期と切り替えタイミングを明確にする。
E-Verifyを使用している場合、リモート確認の新しい手続きを理解し適切に実施する。
I-9フォームの保存期間と提供の手続きを確認・再確認する。
罰金やペナルティを回避するための内部の監査体制やチェック体制を強化する。
新しいI-9フォームは以下のリンクから入手可能である。
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